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●Section2 社会・学校とつなげる

したいことから他者にとっての意義につなげる

 Section1の結果、「自分のしたいこと」が何となく分かったとしましょう。今、それはどうなっているでしょうか? もちろん、今「したいこと」が十分出来ているわけではありませんね。なぜなら、今十分出来ているなら、わざわざ、これから学校に行く必要はないからです。それが出来ていないから、実現するために、学校に行く。だから、今、あなたは志望理由書や自己評価書を書いているわけです。

  では、学校に行くのは何のためか? 社会に貢献することができる人材になるためです。いや、私は自分が生活して行ければ、それでいいんだ、と言う人もいるかもしれません。たしかに、それが大部分の人の本音かもしれません。でも、それを大学関係者が聞いて「よし、それなら君を大学に入れてやろう!」とは言わないはずです。なぜなら、その人が生きていくだけでは、他人に無関係だからです。

  「この人を大学に入れてやろう!」と思うからには、「この人」が大学を出るということが、他の人にとって、あるいは社会にとって、将来、何か良いことをもたらしそうだからです。だから、自分が大学を出ると、こんな良いことが社会に出て来るはずだ、とアピールする必要があります。つまり、自分のやりたいことの社会的意義を述べる必要があるのです。

  どんな職業も、それなりに社会に貢献ができます。だから、需要もあるし、求められもするのです。だから、こんな仕事につきたいと将来の職業イメージを述べるのも良いでしょう。その場合には、その職業がどう社会の役に立っているのか、何をよくするのか、とイメージする必要があります。たんに「たくさんお金が儲かるから」とか「世間的に良い職業だと思われているから」ではダメで、こういう風に社会をよくする、という明確な内容が必要です。

楽しかったこと・面白かったこと

個人的な意義は他者には無関係

社会的意義を強調する


 たとえば「医者になりたい」という志望があったとしても、その理由が「医者なら失業しないから」とか「お金が儲かるから」では、とうてい他人にはアピールしないでしょうね。それより「地域医療を良くしたいから」とか「国境なき医師団に入りたいから」などと書いた方が、直接的に社会のためになる。もちろん、そのように書くつもりなら、「地域医療」や「国境なき医師団」の活動について、くわしく知っていなければならないでしょう。もしかしたら、今持っている知識だけでは足りず、書く前にちょつと調べなければならないかもしれません。

自分のしたいこと・興味があること

他人・社会に何を与えるか?

仕事・人生の意義と予想

大学への期待と希望


 とくに、面接が行われる場合は、志望理由書や自己評価書の内容を元に質問がなされる場合が多いようです。とりあえず原稿を書いてみたら、今度は、面接のときにどんな質問がされるだろう、とイメージしてみてください。自分が面接官だとしたら「こういう質問をする」「あんなことを聞きたい」などと、いろいろイメージします。すると、それへの回答も用意しておかなくてはなりません。内容で足りないところ、付け加えるべきところも見えてくるはずです。

  つまり、志望理由書・自己評価書は、たんに自分の希望していることを書きつらねれば良いのではなく、「自分のしたいこと」を社会や他人とつなげて、発展させる形で書いていかなければならないのです。 それは、大学に対するイメージも同じです。もし、大学を、将来の職業につなげる場と考えるならば、その将来の姿に、こんな風につながるし、こんな勉強もしたい、というように、あれこれ希望や期待も湧いてくるはずです。

  つまり、志望理由書・自己評価書は、自分の過去から、未来への展望が生まれ、そこから現在の志望が生まれる、という過去・現在・未来が組み合わさった形をしています。それらがバランス良く表されるには、何回も書き直す必要があるし、その過程で、自分の志望も徐々に成長して深化するのです。