● 文学・哲学ってなに?
文学部と言っても、別に小説の書き方を学ぶ学部ではありません。 それはむしろ「文芸学部」です。文学・哲学の範囲は、だいたい次の三つと考えてください。
- 哲学・思想
- 西洋/東洋哲学・宗教学・美学/芸術学・倫理学など
- 言語・文学
- 日本語学/日本文学・英語学/英米文学・中国語/中国文学など
- 歴史
- 日本史学・西洋史学・東洋史学など
要するに、高校で習った国語・外国語と歴史の大部分はここに入るわけですね。
● 進路はどうなる?
昔は、文学・哲学なんて就職がないと言われたけど、最近はそうでもありません。 日本社会はこれまでモノの生産が主でしたが、最近は情報産業の方が有力です。 文学・哲学分野は、その情報化のコンテンツである言語や表現の分野を扱います。 その意味で、現代の社会にマッチしているとも言えるのです。
文学・哲学分野 = 情報化必須の記号・情報を学ぶ
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出版・広告
だから、マスコミや出版・広告などと関わる仕事との相性がいい。 哲学を学んだから人生に悩むわけではなく、 むしろ論理を使うからIT企業などに就職できるという発想もあります。 あるいは、広告や宣伝にも関係するかも知れない。 美学・美術史だったら、雑誌などヴィジュアルを扱う仕事もある。 もちろん、言葉に対する能力をそのまま発揮できる教職・翻訳業などにつくことも可能。 その意味で、かえって仕事の範囲は広くなるかもしれません。
文学・哲学 + 語学・国際関係 = 通訳・翻訳
文学・哲学 + 美術 = 宣伝・広報
ただ問題なのは、こういう仕事は大都市や首都圏に集中しがちなことです。 「記号」や「情報」は人と人が集まる中で発生するし、生活が満たされた余剰の部分の活動でもあります。 だから人間があまり多くない地方だと、中央で作ったコンテンツをただ流通させるだけ、ということになりがち。 自分が創造する余地は少ないのでは、あまりやりがいがないですね。 大都市や首都圏といった「騒がしい」世界に身を置くというリスクが必要になってきます。
● どんな人に向いている?
授業は理科系などに比べればずっと楽。 だから、社会の見聞を広げたい人には向いています。 逆に言うと、学校だけでなく実社会で起こっていることにも敏感でないと、うまく応用できないこともあります。 その意味で、単に会社の一員で終わるのではなく、自分で仕事を作り出していく、という独立心が必要でしょうね。 産業社会に適応することをめざすだけなら、法律・経済系の方がずっとよい。
逆に、勉強しようと思ったら奥が深い分野です。 若い頃は職業に役立てるために法律とか経済を学んだ人が、 大人になってからもう一度勉強したがるのもこの分野。 経済や生活とは別に学ぶ価値があることなのですね。 つまり、好きなことを勉強する気持ちがあるなら、いくらでも熱中できる分野なのでしょう。
文学・哲学 = 自分の道は自分で独自に見つけたいという独立心の強い人向き