大学生活の紹介
慶應義塾大学SFC Y・K ●SFCとは? ●SFC裏話その1 ●SFCと三田の隔たり ●SFC裏話その2
●SFCとは?
SFCを受験する際、「このキャンパスで何が学べるのか」、「総合政策か環境情報のどちらに進学すべきか」と悩む受験生は多いようです。斯く言う私も受験の時に、この謎なキャンパスに翻弄され、結局わからずに願書提出を断念しています。ホームページも非常に抽象的で、このキャンパスで何が学べ、どのような研究が可能か、非常にわかりにくく、特にAO入試の場合、総合政策学部と環境情報学部を併願できないため悩みの種です。
簡単に言えば、この二つの学部に違いはありません。総合政策学部に比較的文系の学生が多く、環境情報学部に理系の学生が多い。また卒業単位として前者においては文系の科目を数単位多く取ること、後者においては理系の単位を多くとることが求められるくらいではないでしょうか。それ以外は授業も研究会も同じものが受けられるので、学生同士お互いがどの学部に所属しているか、仲のいい友人同士ですら把握してないことがしばしばです。また、仮に入学後どうしても総合政策から環境情報へあるいはその逆へ転部する必要性が生じた場合、5000円を支払い、面接を受ければ、たいてい希望通りの結果となるので、どの学部を受験するかで悩むだけ時間の無駄かもしれません。
むしろ悩むべきは「どの学部を受験すべきか」ではなく、「SFCに進学すべきか」、ということではないでしょうか? SFCは学問の融合を行うことで幅広い分野の研究が行われており、またそのアプローチは多岐にわたります。例えば、ユビキタス社会の将来構想、アニメーション製作、電気自動車の開発、東南アジアにおける開発援助、日本人の自殺における精神構造…これらの研究を「学問の融合」という一言で可能にしてしまうSFCは謎なキャンパスというよりも何でもありのキャンパスという印象を受けがちです。しかし、誤解してはいけません。SFCは多種多様な研究を可能にするだけであり、当然ながらどんな研究も可能というわけではありません。
そのため「自分はSFCで何を研究したいのか?」「SFCで何が研究できるのか?」ということを予め理解しておくことが必要です。受験する前から何を研究したいか明確なヴィジョンを持っている学生は少ないですし、基本的な知識が無い状態で大学4年間の研究テーマを探すことはまず不可能です。ただし、大学側は展望がある学生を少なからず求めています。そこでお勧めしたいのが、SFCのサイトを有効活用することです。
まずは在学生のページからSFCのサイトに入り、教員プロフィールなどを閲覧して興味がある研究分野を探すことです。また研究会シラバスや研究会のサイトを見ていくことで、SFCではどのような研究が行われていて、どのような興味を持った学生が集まっているのか、概観が掴めるはずです。また、研究するにはどのようなプロセスを経る必要があるのか、研究会の活動紹介なども参考にするとよいのかもしれません。
さらには、SFCはグローバル・キャンパスといって、ネットでSFC生以外も無料で受講できるサイトを立ち上げています。SFCで行なった授業(90分)の動画を毎週ネット上に公開するもので、これも在学生のページからリンクが貼られているので、気になった教員名や授業名から検索してみるというのも一つの方法です。
私はネット上にこんなに情報を流出させる必要性がいまだに理解できずにいますが、きっと受験生にとっては、格好のソースだと思いますので、情報を大いに活用しSFCを吟味してみてください。
●SFC裏話その1
湘南藤沢キャンパスの頭文字をとってSFCと呼ばれていますが、実際キャンパスは湘南とはまったく関係なく藤沢市にポツンと立てられています。そのため、海も浜辺も見当たりません。では、何故湘南なのか? SFC建設当初は、慶應藤沢キャンパスとなる予定でした…でも、それだと某フライドチキン会社と名前がかぶることから、クレームが慶應に寄せられてしまい。適当にかっこいい地名をつけてイメージアップしようということになったのが真相とか…この微妙なキャンパス通いたいと思いますか?
●SFCと三田の隔たり
前回はSFCのもつ可能性をあげてみましたが、今回はSFCの限界に焦点を当てます。SFCは三田から敬遠されたり、他大学と評されるなどしていますが、その理由として、SFCの基本理念である学問の融合があげられます。
例えば法学は、条文を解釈し、文献研究をひたすら行う学問であり、難解な条文を理解するためには専門的な知識が必要とされます。しかし、SFCでは法学の知識のみを利用し問題解決することを嫌います。なぜならば、それは法理論の展開でしかなく、実社会において機能するかどうかは検討されていないからです。経済学も同様のことが指摘できるでしょう。実社会において役立たない研究はSFCにおいて評価されません。
さらに、SFCの中で資格試験合格を目指すのは非常に困難です。例えば公認会計士、弁護士や国家試験T種などを目指している学生には不向きな学部です。このような専門職はその学問に関する知識を極めなくてはいけない職業であり、学問の融合は一切求められていません。しかし、純粋な会計学、民法などの教科はSFCの授業において用意されておりません。そのため私の周囲で資格試験を目指している学生は、みな1時間以上離れた三田まで専門科目を履修しに通っており、苦労しています。そしてそのようなSFC生を、同情や嘲笑などのさらなる苦難が待ち受けているわけです。
今も昔も三田では純粋な理論研究こそが至高の学問と考えられている節があります。そのため、三田の学部からSFCの院に進学する時は「都落ち」と揶揄されたり、三田の学生の前でSFC生は遠慮がちにならざるをえなかったり、と学内での暗黙のヒエラルキーが構成されています。
では実際のSFCはそれほど酷いものなのでしょうか? そうではないと思います。SFCの教員はそもそも、社会に出たことがない三田の研究者とは異なり、昔企業や政府に勤めていた経験がある教員や現在企業や政府の仕事に積極的に携わっている教員、あるいは企業や政府からの一時的な客員教員という経歴の者が多く集まっており、社会との太いパイプが存在します。また、理系の研究室にいえることですが、企業により研究が支援されており、莫大な研究資金のもと研究が進められている研究室が多数あります。さらに、企業からのバック・アップを得るために毎年ORF(オープン・リサーチ・フォーラム)という発表の場を都心に期間限定で設け、企業にアピールするなど積極的に実社会との交流を図っています。そのためSFCの教員・研究室はマスコミへの露出度も高く、三田の教員から「俗物的」として嫌われてしまうのかもしれません。
SFCのこういったスタンスに惹かれるのであればSFCに進学を考えるべきですが、抵抗を感じる場合、SFCには不向きでしょう。いずれにせよ、個人が学問に見出す意義によって、SFCの評価は分かれるのではないでしょうか。
研究をはじめるに当たって必ず、研究意義を考えます。その研究を進めることで、誰のためにどのように役立つか、これを念頭において研究する時、やはり少しでも社会に貢献することができる問題に取り組みたいと思うのは、自然な考えだと思うのですが…いかがでしょう?
●SFC裏話その2
SFCに通学する学生の大半は湘南台駅からバスで通学しています。バスに乗っている時間は早い時で25分、渋滞だと一時間以上かかります。しかも、バスがいるのに乗れないことが、しばしば。その最大の理由がSFC高校の生徒。彼らは、列に並んでいる友達を見つけては、途中から割り込んでくるため、この大群に遭遇してしまったら、もう30分はバスを待つことを覚悟しなくてはいけません。彼らにとって大学生は空気あるいは、下々の者にしか見えていないようで、注意しようものなら流されるか、睨み付けてくるか、はたまた大声で嫌味を言われ続けるか…だから賢い大学生はみな我慢することを覚えます。昔は、地下鉄がキャンパスまで延びる予定だったのですが、資金難のため湘南台で止まっており、工事が再開する見通しも皆無…この微妙なキャンパス通いたいと思いますか?