●Section1 自分を振り返る
自分の本当にしたいことは?
「志望理由書・自己評価書なんて簡単だ!」と思っているひとがいるかもしれません。自分のことを書けば良いんだろう? 簡単だよ、なんてね。でも、そうではありません。志望理由書も自己評価書も、書こうとすると、けっこう手間がかかるものなのです。
志望理由書は「この大学になぜ行きたいか」を書く、自己評価書は「自分のしたこと」を書く、とよく言います。たしかに、おおざっぱな内容はそれで良いのですが、効果的に書くには、注意しなければいけないところがたくさんあるのです。ちゃんと書こうとすると、1ヶ月とか2ヶ月とか、それなりの準備期間が必要になる。AO入試の書類作成をなめてはいけません。
そもそも、「自分が取り組む問題を見つける」などと言っても、普通は、そんなこと考えて生活していない。「自分が取り組む問題」を見つけるには、「自分はどういう人生を送りたいか?」という希望が明確になければならないし、そのためには「そもそも自分とはどういう人間なのか?」も考える必要がある。いろいろ考えていくと、かえって、わからなくなるかもしれません。悩むのは当然です。
自分を振り返ることが最初
でも、こういう疑問に悩まないようでは、かえって困るのです。むしろ「どんな未来をイメージするか?」「どんな大学に入りたいか?」という問題は、一生のことだから、適当に「これだ!」なんて決めるのはおかしいですよね。たとえ、決めたとしても、後で「間違った」となっては、もっと困ります。
もともと自分はどういう人間なのか? 何に興味があるのか? どんな分野ならがんばれるのか? 根本に立ち戻って考えるのが、結局は「自分に向いている大学」「自分に向いている人生」を見つける近道なのです。
だから、まず「自分とはどんな人間か?」と自分を振り返ることから始めましょう! それが決まらないと、「どんな人生を送りたいのか?」「どんな仕事をしたいのか?」「どんな大学に行きたいのか?」は決まってこない。最初に行きたい大学が決まって、それから自分の将来を考える、というのでは、あべこべです。
よくわからない人は、まず「楽しかったこと」「面白かったこと」などを思い出すことから始めましょう。自分が何を楽しいと思ったか、という感覚は、一番自分にとって信用できる感覚です。そうすると、自分が本当は何をしたかったのか、自分がどんな人生を送りたいのか、見えてきます。
楽しかったこと・面白かったこと
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自分とは何か?
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仕事・人生のイメージ
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大学の決定
自分の姿と性格
でも「自分」を考えるのはなかなか難しいのです。そもそも、私たちは自分の姿を直接に見たことがないからです。鏡の中に映った姿は右左が逆さま。それがどんなに現実と違うかは、となりによく知っている人を立たせて、鏡の中を見てみればよい。すると、いつも見慣れているのとは全然違った姿が現れてびっくりする。
だから「自分とは何か?」を考えるときは気をつけなければならないのです。「私はこういう人間だ」と日常思っていることが単なる思いこみで、必ずしも正しいとは限らないなんてこともよくある。だから、「自分とは何か?」を考えるときは、丁寧に考えていく必要があります。
自分が人にどう見えているか想像したり、長所・短所を挙げてみたり、いろいろな方向から眺めてみる必要があります。ときには、自分で自分の姿を絵で描いてみたり…手間がかかるようですが、そうしないと、自分がどういうことに向いているのか誤解したまま、大学に進学する。それでは、後悔することになるかも知れません。
AO入試の書類を書くということは、たんなるテクニックや受験技術ではありません。自分の過去を探って、自分がどういう人間か思いを巡らす。その上で、やりたい問題を考えて、その解決に何が必要か考える。大学を選び、志望を明確化する。どんなことでもそうですが、こういう決断は一回で決まると言うことではない。過去を思い出し、それで未来を考える。でも、そうすると「あれ、なんかヘンだな」と思う。そこで、もう一度過去を振り返る。なんて、行ったり来たりが当たり前です。その中で、次第に志望が決まってくる、ということになるのが普通です。
「自分とは何か?」=さまざまな方向から考える・イメージする
でも、今はとにかく始めることが大切です。いったい、自分はどういう人間か? 何を本当にしたいのか? 自分の将来にむかっての航海に乗り出してみましょう。ここで考えたことは、後で書類を作る際に、大いに利用できるはずです。さあ、始めよう!
Exercise 1
次の質問にそれぞれ200字以内で答えてみましょう。
・最高に楽しかったことは?・ほめられてうれしいことは何?
・私の姿ってどんなかな? 絵にもしてみよう。
・私の性格ってどんなかな?
・長所・短所は何かな? 将来にどう役立てられそうかな?