■おや、わかりが速いね。じゃあ、この文章の仕組みを説明してもらおうか?
●ええと、まず最初の段落が「要約」になってます。とくに最初の6コマですね。夫が「めし」「ふろ」「ねる」の三語しか発しないことを指摘して、それを夫からの要求と意味づけています。
■なかなかいい分析だね。
●同じ段落で、妻についても「無言で対応する」とはっきり書いていますね。これがとくに1,4コマ目の要約ですね。
■ふむふむ。その後はどうなっているかな?
●でも「それなりにうまくいっている」とまとめてあります。をする前に、第二段落で「家庭の人間関係が固定化している」と抽象化してまとめていて、それを「夫は外に働きに行き、妻が家で家事をする。行動がパターン化しているため、対人コミュニケーションも幅が狭くなる」とくわしく説明しています。
■3,4コマ目の要約はその後に行っているわけだね。
●ええ、「乏しい言葉でもそれなりに意思は通じている」とその後に続いていますね。ここまでの構造は
1,2コマ目の要約⇒まとめと説明⇒3,4コマ目の要約
となっていますね。
■ブラボー! ずいぶん人の文章が読めるようになったね。
●そりゃあ、先生に少し鍛えられましたから。でもその後がどうなっているのか、イマイチわかりにくいんですけど…
後半の流れ―矛盾から提案へ
■第三段落と第四段落は、矛盾の提出だね。第三段落では、このような日本の家族の肯定面、つまり人間の再生産には機能的であることを指摘する。それに対して第四段落では、その否定面、つまり生きる楽しみや人間性の面が少ないこと、を指摘している。
以上を総合判断してラストに提案がある。「人間的に幅を持つ場所でありたい」がその内容。つまり第三段落と第四段落は
肯定+否定(矛盾)⇒提案
となっている。
●最後はずいぶん簡単ですね。理由とか例示とか、今までに小論文に絶対必要だった要素がありませんね。なくていいんですか?