| ■そのとおり。この「筆者が一番言いたいところ」をポイントというんだ。
 
 ●ポイント…
 ■じゃあ他の部分は、ポイントに対してどんな風に関わり、どんな役割を 果たしているのだろう?
 ●えーっと…他の方法じゃダメだとか。
 ■対比だね。こっちはいいけどあっちはダメだって書いて、特徴をはっきりさせる方法だ。
 ●「競争があるので」のところは理由になっていますね。
 ■そのとおり。それから?
 ●「家族のいないため、老人がアパートの一室で死んでいた」は例を挙げているみたい。
 対比や例示は大切なところではない
■つまり対比、理由、例示などだけど、どれも最初の「老人介護は企業にま かせるのがよい」が正しいんだ、ということをバック・アップしている。
 ●応援団みたいですね。
 ■サッカーの試合にサポーターというのがいるよね。それに似ていて、実際に大切な内容を応援するわけだ。だからこの部分をサポート、正確には supporting informationと言う。
 ●なるほど。文章にはポイントとサポートの二つの部分があるんですね。
 ■そういうわけ。ポイントという筆者の言いたいことを、サポートの部分が 支えている。つまり
  ポイント(言いたいこと)←サポート(理由・対比・例示等)
 これを例文に当てはめてみると…
  老人介護は企業にまかせるべきだ(ポイント)。なぜなら作業の効率化が望めるからだ(理由)。国や地方公共団体が介護を担当すると非効率的になりやすいし、サービスが画一的になる。一方家族が介護するには負担は大きすぎる (対比)。それに対して、企業には競争があるので、多様で良質なサービスが安い料金で提供される可能性が大きい。(くわしい説明)家族のいないため、老人がアパートの一室で死んでいたのを誰も気づかなかったという悲劇もなくなるはずだ。(例示)
 となる。まずポイントを明確にして段落の頭に出す。それからそれを支えるために、理由・対比・例示などのサポートを後から補足する。この形式をポイント・ファーストと言って、論文では一番わかりやすいと言われて いる。小論文を書き始めの人は、この形式に従った方がわかりやすい文章が書ける。
 時間はかかるが結局は早道
●でもこんなことをいちいち気をつけながら文章を書くと、すごく時間がかかりませんか? 試験場で間に合うかな?
 
									■たしかに、最初のうちはどうしても時間がかかるね。でも経験を重ねていくうちに、だんだん慣れてきて早くなるものだよ。今は練習なんだから、時間のことなんかまだ心配しなくていい。車の運 転と同じで、身に付いてくると無意識に体が動いてくるようになる。そこまでがんばらないとね。
 
 |