3 チョー長文を、速く読むにはどうしたらいいの? |
Vous avez raisonの第3回目です。「長文を速く読むにはどうしたらよいか?」は、受講生から、この時期になるとよく来る質問なので、掲載しておきます。吉岡が応えます。 いつも丁寧な添削ありがとうございます。いよいよ国立の法科大学院の試験が大詰めを迎えています。これまでの努力を是非実らせたいと必死です。ところで、国立では、課題文に、超長文(A4、10ページ分ぐらい)が提示される場合がしばしばあるのですが、このような問題への対策として、ひたすら速く読む以外の方法はあるのでしょうか。もし、よろしければ、アドバイスいただきたくお願いします。友人の中には、速読法をやるべきだったね、なんて言うのもいるんですが…。(読むのがいつも間に合わない受験生より) |
質問への回答です。 「読むのがいつも間に合わない受験生」さん、世に速読法はいろいろと言われていますが、どれもだいたい眉唾ものですね。身につければ、1日に500ページ読める、などという宣伝がありますが、ほとんどデタラメ。安易に速読法に頼るのは、よしましょうね。「速読法」の本を読むより、内容のある本を読む方が先です。 でも速く読む方法が全くないわけではありません。読んで理解する、というのは、新しい知識を既存の知識と関連づけて、受容できるということです。その関連づけが分からないから、最初まごまごするわけです。 それを避けるには、だいたいの内容をはあらかじめ理解しておく必要があります。そのためには、次のような方法をやってみたらどうでしょう? 1TOPIC(話題)は何か? 問題文の最後を見て、題名が書いてあるならシメタもの。とりあえず、何について書いてあるか、TOPIC(話題)の見当を付けられるからです。 2問題を探す 論文の基本は「問題と解決」。問題を見つけられれば、読解の半分は終わったようなものです。最初の方の段落を読んで、疑問・対立する意見・矛盾の指摘などがないか、探す、それが全体の「問題」となっていることが多いのです。 3解決を探す 問題が見つかったら、そこから読み始めて「解決」を探します。問題の前まではイントロなので、ほぼ無視してよい。「解決」は、たいてい問題提示のすぐ後か、ラストの段落に書いてあることが多い。また、「そもそも」「根本的に」などの重要性を表す修飾語が付けられている場合が多いので、それを目印に探しましょう。それが見つかったら、問題文全体の理解は一応おしまいです。極端に言えば、ここまで出来れば読めたことになる。とくに賛否を表明するだけなら、これで十分ですね。 4根拠は理由を優先する その他の部分は根拠です。「解決」がなぜ正しいか、論じてある部分ですね。精密な小論文を書くときは、ここの妥当性を問題にする場合が多い。まず「なぜなら」などの理由の部分を優先して読んでください。 5説明か理由が分かれば十分 理由の意味が分からなかったら、その後の「…のである」などと書いてある説明を読みます。理由か説明のどちらかを理解すれば、十分です。どちらか一つが分からなくても、気にしないで先に進むことが重要です。 6例示の扱い方 「たとえば」などの例示の部分は、基本的に斜め読みでよい。理由・説明と基本的には同じ内容なので、理由・説明が分からなかったら、ここを一生懸命読めば分かるようになります。 7ポイント・ファーストを利用する 段落の内容は、たいてい冒頭に書いてあるので、そこだけをつなげてみて、全体の内容の判定をしても良いのです。これをスキミングと言う。英文解釈の場合に、よくやる方法ですね。 これでまだ時間の余裕があれば(あるはずです!)、頭から読んでいきます。先の内容が予測できているので、迷わないで済み、時間が節約されるはずです。基本的には、「問題と解決」が文章の根本的内容(メッセージ)であるということを応用しているわけですね。論理的文章は、全部が同じ重要度ではありません。たった一つのメッセージのバリエーションなので、元のメッセージさえ掴めればよいのです。 お分かりでしょうか? 結局、課題文を読むことは、小論文を書いて構成する方法のちょうど裏返しになっているわけですね。その意味で、書く訓練をすることは、読む訓練をすることでもあるのです。 |