シニアのロースクール日記 (362007年10月   
 
                
10月22日(月) 多忙な3年生の後期の授業
 
 3時10分からのN先生の憲法特別演習に向かう廊下で、1年生のときクラスが同じであったYさんとすれ違った。「最近、あまり見かけないですね。お元気ですか」と挨拶すると、学校へは月曜日と火曜日しか来ていないという。3年生も後期になると、必修科目は前期で単位を取ってしまい、残った先端科目だけを履修する人がいる。Yさんは、この部類に属し、自宅での自学自習に集中する。

 これに対して、前期で大半の単位を取っていても、授業の予習復習を通じて実力をつけようという人もいる。私は、この部類に属している。卒業に必要な単位はあと6科目12単位だが、その倍の11.5科目23単位分の授業を受けている。

 月曜日は、刑事裁判実務と特別演習(憲法)である。特別演習(憲法)は、聴講という形をとっている。既に前期に行政法の特別演習を履修したので、2単位以上取ることができないためである。したがって単位にならない。しかし、内容が主として憲法訴訟なので試験に直結すると考え受講している。

 火曜日は1時間目が建築紛争法である。90分の内、最初の60分で、不動産の売買や請負に関する問題が出題され、答案を書く。残りの30分で解説が行われ、翌週に添削して答案が返却される。民事法の理解に役立っている。午後は、選択科目と考えている経済法と特別演習(会社法)である。経済法とは独禁法のことであるが、11月になると経済法を選択科目とする学生を対象に課題を出して、答案を添削してくださることになっている。特別演習(会社法)は、憲法特別演習と土曜に聴講なので単位にならない。しかし、随分勉強になる。今週は、取締役会決議の効力を問う問題であった。これは、今年の本試験に出題されたものである。先生のウェブサイトに掲載された問題を解き、日曜日の深夜12時までに先生にメールで送ると、月曜日には添削答案がメールで返され、火曜日の授業で解説するという方式で進められる。

 水曜日は、民事法総合演習と家族法である。民事法総合演習の場合、毎回宿題が出され、翌週手書きの答案を提出することが義務付けられる。そして、翌々週に添削して返却される。家族法は、ほとんど一方的な講義形式である。短答式対策になると考え受講している。

 木曜日は、法律英語のみである。受講者は海外駐在経験や留学経験のある者で、わずか5名である。先生はミネソタ州の弁護士資格のある人で、歯切れの良い英語を話してくれる。英語力維持のため受講している。1ヶ月に一度、英語のレポート提出が要求され、これで成績が評価される。

 金曜日は、午前に隔週の公法総合演習がある。天皇コラージュ事件とか、二風谷ダム事件など、憲法と行政法にまたがる判例を1審から最高裁判決まで読んで、先生の質問に答えるという形式である。判例を一審から最高裁まで読むことは、骨が折れるが判例理解には役立つ。午後には、公法実務と経済犯罪がある。公法実務は、税務訴訟、難民認定、住民訴訟など、最近訴訟の増加してきた今日的な問題がテーマに取り上げられている。事前にテキストを読み、課題に対するレポートを授業の開始時に提出し、翌週添削して返却される。予備知識のない問題を事前に法律や判例を調べて、レポートにまとめるのは結構時間がかかる。テキストは今年の3月以前に作成されたものであるが、今年の行政法の本試験で出題された不法滞在退去強制処分と執行停止に関するものが含まれている。K大学の先生が問題を漏洩したとされているテーマである。具体的な事件を題材にしているので、行政法を生きた形で理解することが出来る。来年は、住民訴訟や情報公開に関する問題が出題されるのではないかというのが先生の予想である。経済犯罪は、約1時間、経済犯罪に関するビデオ、例えばL&Gの詐欺事件を見た後、択一の問題を解くことに当てられる。

 昨日、刑事裁判実務のレポートを提出した。窃盗被疑事件に関する100ページ以上の捜査資料をもとに、被告人が有罪か無罪かを判断させるものである。レポートをA4で、6枚に纏め上げた。近接所持に関する問題で、かなりの状況証拠があるが、動機がないとして窃盗は成立せず、盗品有償譲受け罪が成立するとした。

 このように、私の1週間は、これまで3年間の中で最も忙しい。しかし、先生も熱が入っているので、応える必要がある。先日、惜しくも今年合格しなかった人に出会ったら、今年未修クラスで合格した人の多くは、後期も授業を中心に勉強していた人が多いとのことであった。早朝5時から短答式の問題に取組み、寝るのは午後11時である。体力的に疲れるが、何とか頑張り通したい。




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