シニアのロースクール日記(35)2007年9月 9月5日(水) クールビズの効用−猛暑の夏に思う テレビは、六カ国協議の日朝作業部会の開かれているモンゴルのウランバートルからの映像を流している。両国の代表団が空港に到着した模様が映し出された。相手国の団長の服装を見ると、高級スーツにネクタイ姿である。これに対して、わが国の大使といえば、カジュアルな上着は着用しているものの、ノーネクタイである。これでは、既に勝負が決まっているのではないかと思った。相手方の表情には、自信と気迫がみなぎっているが、日本側の団長には、覇気が感じられない。彼は国際舞台であっても、クールビズに忠実なようだ。 クールビズは小泉内閣の当時、環境対策の一環として採用されたものである。女性初の防衛大臣になった人が環境大臣をしていた頃のアイデアで導入された。夏場になるとノーネクタイ姿の政治家がテレビに登場する。先の参議院議員選挙で与党が惨敗した原因の一つに、このクールビズと称するカジュアルな服装があるのではないかと思う。年金や政治と金などが問題になっているときに、ラフな服装で閣議に臨む姿は、真剣に仕事に取組む姿勢と意欲が伝わってこない。街頭演説を比較すると、与党党首は宣伝カーの上から国民を見下ろして、ノーネクタイで絶叫している。一方、過半数を獲得した野党の党首は、水田をバックにみかん箱の上に立って静かに語りかけている。もちろん、炎天下でスーツネクタイ姿であった。 英国の首相をしていたサッチャーさんは、その自叙伝の中で「カジュアルな服装は、カジュアルな思考を生む」と書いている。1980年代の終わり頃、アメリカのレーガン大統領がサミットでの服装をカジュアルにしようと提案したことがあるらしい。サッチャーさんは、世界の指導者たるものは、カジュアルな思考をしてはならないと諭したという。 アメリカで、現地会社の責任者をしていた頃アメリカ人社員から、一週間通してカジュアルデイにするようにとの要望が出されたことがある。サッチャーさんの言葉を引き合いに出し、金曜日以外はビジネススーツ着用を求めた。 日朝作業部会は、わが国にとって何の成果を出すこともなく二日間の日程を終了した。与党党首はといえば、その後政権を投げ出し敵前逃亡をするかのように消え去ることになる。 9月29日(土) 継続は力なり 午前5時に目覚めて、ラジオのスイッチを入れることから一日が始まる。ベッドでNHKのニュースに耳を傾ける。ミャンマーで起こった軍隊による日本人記者殺害事件を報じている。その後、トイレで日経新聞に目を通す。 洗面を済ませ、5時45分からパソコンに向かう。TKCが提供しているインターネットによる短答式問題を解くためである。画面を開くと、先週実施された全国模擬試験の個人成績が送られてきていた。受験者総数2336名、そのうち今年春の修了生と来年卒業予定者は1899名である。総合成績で221位を取ることができた。中でも公法系の成績が抜群に良く、38位であった。一年前の成績は、下位10%程度のところに低迷していたことを思うと、ここまで成績が伸びるとは全くの予想外である。 短答式の問題は暗記すべきことが多い。自分の年齢を考えると、一朝一夕に実力がつくとはとても思えなかった。そこで、TKCのインターネットによる練習問題に取組むことにし、昨年9月から始めた。毎日5時に起床し、登校する前に各科目5問、民法は10問合計40問を解くことを日課にしてきた。始めてから今日まで8900問解いたことになる。当初は、正答率は各科目とも4割前後であったが、最近はコンスタントに8割にまで上がった。 企業に勤務していた頃から、「継続は力なり」という言葉を肝に銘じてきた。同じことを毎日繰り返すことによって着実の力がつくという教訓である。最近ある人から、「短答式には、短答式のエスプリがある」ということを教えられた。過去問を何度も解いて「エスプリを体得せよ」とのアドバイスである。このアドバイスに従って、これまで昨年と今年の問題を一ヶ月に一回のペースで三回解いた。法律や判例知識が不正確で迷った場合に、エスプリを体得することによって正解を導きことができるという意味らしい。確かに、不自然な文章が入っている選択肢を誤りとすれば、比較的正解を出しやすいことが分かってきた。今日から7ヵ月半の間、欠かさずにインターネットによる練習と過去問を解くことを続けることによって、現在の順位を維持しようと考えている。 ▼Homeに戻る |