2022年 東京大学法科大学院 未修 合格再現 Sさん |
今年度の東京大学法科大学院未修の小論文を再現してみました。 |
【第1問】 筆者によれば、<市民>とは、政治に参加する能動的な国家の構成員である。自律とは、国家のルールである法の制定を自分で決めることである。これらのルールは自分たちが従うものであるため、権威や歴史を絶対視せずに、常にその法やルールを批判的に吟味する。つまり、市民が意見を提起し、共同体の中に議論を経て、法をよりよいものに変えていくことなのだ。(167字) 問2 下線部1につき、現代日本における「市民」の語の用例(「市民」の意味で「民」を用いるものを含む)を二つ以上挙げ、問1で要約した「自律的<市民>」と比較して、それらの特徴を明らかにしなさい(420字以内)。 国民、公民 自律的<市民>が積極的に政治に参加するのに対して、日本の国民・公民は政治に関心が薄いといわれている。なぜなら、日本の国政選挙の投票率は約50%であり、世界でも低い水準にあるからだ。その中で、自分の一票が国政に影響を与えないと考えて投票に行かない人が少なくない。日本は比較的に福祉が充実しているため、国からの恩恵を享受することに慣れてしまい、国家意志の形成における主体性が失われていくのだ。 問3 下線部2につき、「この専制」の意義を明らかにしたうえで、「方策」を具体的に提言しなさい(600字以内)。 「この専制」は個人の自由を狭い範囲内に止める。近年、グローバリゼーションは資本主義社会を加速させ、個人が自己利益を重視し、他人のことに鈍感であり、社会的・政治的な問題にも関心を持たなくなってきている。その結果、個人の自由意志が狭い私的生活にしかきのうしなくなる。そのため、市民の視界を広げ、より重要な活動に参加させる必要がある。それに対して、SDGsの取り組みが方策として考えられる。貧困や社会問題、環境問題など幅広いテーマを扱っており、それらに関わることで狭い生活圏から抜け出すことが期待できる。ただ、現在のSDGs活動は主に企業がブランド価値のためだという批判も少なくないため、その活動をさらに個人に普及させていく必要がある。 |