2006年6月
6/26

嵐の前の静けさ

 法科大学院受験の皆様、適性試験の出来はいかがでしたか?

 私どもは法科大学院適性試験直前コースに関わった激動の三週間がやっと終わったと思ったら、次の激動=志望理由書のラッシュが待ちかまえています。今は「嵐の前の静けさ」といったところ。束の間の余裕を一日分だけ楽しみました。

 サッカーのワールドカップと同じかな? 大騒ぎだった一次リーグがやっと終わり、本来の強豪同士の一騎打ちを落ち着いて、しかしどうなることかとハラハラドキドキしつつ眺められるというのか…。これからワールドカップと並行して、毎日志望理由書ドラフトの山と格闘する毎日となります。

 そういえば、日本選手の闘いぶりについて、色々批判的意見が出ていますね。FWが弱いとか、コーチがいけなかったとか、いちいち頷けるところはあるのだけど、でも前回のホームでの成績は別として、前々回のフランス大会では日本は一勝もできずに敗退している。そこから比べれば、引き分けが一度あっただけでも進歩と考えなきゃいけないかなと思っています。

 面白い統計があって、オリンピックのメダル獲得数は、二つの数値と強い相関があるのだそうです。一つは前回大会までのその国のメダル獲得数、もう一つはスポーツにかけられた資金の伸び率だそうです。つまり、そもそも強いならもっと強くなる可能性が強いし、お金がかけられれば強くなる可能性が高まる、というわけ。逆に言えば、今まで弱かったところは大して強くならないし、お金がかけられなければ弱いままだということです。

 身も蓋もない結果ですが、これがスポーツの現実でしょうね。実際に変わるのは、変わろうとしてから大分かかるということです。もしかしたら、その世代では変えられずに、次の世代までかかるかも知れない。この原理から考えれば、日本の今度の結果はほとんど予想通り。悲しむことはないのです。

 ではオーストラリアは? あそこは元クロアチアなどの選手が多いとか…。もう一つの統計では、移民が多い国ほどサッカーは強いという結果が出ている。自国で育つのを待てないなら選手を輸入してしまえ、ということ。オーストラリアの強いのも頷けるね。

 勉強も同じだったらイヤですね。元々成績が良かった人は、更に成績が良くなる可能性が強いし、悪い人はその可能性が低い、とか…。いっそのこと、脳の移植でも受けた方がいいとか…。

 でも、私の経験から言うと、勉強の進歩はスポーツの進歩より速い。筋肉と違って、脳細胞はそもそも小さいので発達するのは急速なのかもしれない。その意味で言うと、伸びない人は努力が足りない、というのはある程度本当です。私は常々言っているのだけど、「勉強ほど良いダイエットはない」のです。本気でやれば、一ヶ月で見る見る体重が落ちる。それだけ消耗がスゴイのです。

 逆に言えば、一ヶ月以上「本気で勉強」すると体に悪いし、一ヶ月で頑張れる範囲も結構ある。適性試験が終わって、一ヶ月ほどでいくつかの法科大学院の志望理由書の締め切りが来る。この時期、どれだけやれるか、頑張れる余地は結構ある。その気迫を受け止めようと、VOCABOWスタッフの面々も武者震いして待機しています。

6/23

忙中忙のみ…また忙!

 はっと気が付いたら、三日坊主を3週間以上も更新していませんでした。なんたる怠慢! 忙しかったことは言い訳にならないけど、とにかく「忙しい」!

 まず、「法科大学院 適性試験直前コース」に受講者が殺到。講評を書いて勉強法アドバイスもするので時間がかかる。梅雨の合間を見てエイヤッと岩手県平泉近くのH町へ。ここは将来「小さな家のある大きな農場兼vocabowスタッフ研修所」にしようと思っていたのですが、そろそろ梨・リンゴなど果樹を植えないと実がなるまで間に合わない。同日、親族に不幸あり。病院に泊まり込んで原稿を書き、終わって帰ってきたら長野県屋代高校で講演。今週は館林高校、来週は宇都宮女子高校など、いつもこの時期は講演周り。他にも原稿仕事が山積み。もうすぐロースクールの志望理由書ラッシュが始まる…。東奔西走、席が温まる暇もないとはこのことですね。

 しかし、こういう過密スケジュールにも関わらず、VOCABOWでは元気にReal School「小論文夏のセミナー」を開催します。乞う、ご期待。

 神保町でReal Schoolをやってみると、WEBと違って、受講者の顔が見えます。話しているうちにどこで反応があるか、どこで疑問を持つか、手に取るように感じられる。WEBはいつでもどこでも好きな時間に落ち着いてやれるという利点があるけれど、Realは相手と時空を共有するvividさがあります。ちょっとした視線や言葉の抑揚で、面倒な理屈がパッと了解されることも多い。そういうところがリニアな情報のWEBとは違ってくるのです。

 何でもそうだと思うけど、モノやコトと結びつかない言葉はむなしい。情報の相互参照という状況の中で、言葉は言葉同士と結びつき、自閉する傾向にある。そこから、言おうと思えば何とでも言える、そういうニヒリズムに陥りがちになる。しかし、必要なのは、現実を動かす力を持つ言葉なのだし、そういう力を持ちさえすれば、現実は動くし、ニヒリスティックになる必要はない。

今度の「夏のセミナー」は

 
1適性試験の勉強に追われ、小論文の準備がおろそかになっている人のためのラストのお助け集中講座
 2早めに法科大学院の小論文はどういうものかとりあえずイメージを持ちたい来年度受験生のためのプレ講座


 両方の役割を持っています。明確な方法論に基づき、正しく努力することで、文章を書く能力は確実に上昇します。逆に正しくない努力は、状況をさらに困難にするだけです。その見極めが大切ですね。

 もちろん、秋からの「法科大学院 Start Up!」などの各講座も充実させます。とくに「法科大学院 適性試験セミナー」の「Start Up!」は、直感的かついい加減に教えられがちな対策を、根底からシステマティックに伝授する。努力なしでの近道やマニュアルなど信じてはいけません。正しく努力する者だけが報われるのです! くわしいスケジュールはHPを見てください。

 とすると、結局、忙の問題は解決するどころか、さらに忙の度を深めつつ、レベルを上げて進化・展開していくしかないのですね。今年の夏は私も体力と知力の限界に挑戦!ということになりそうです。