2003年11月

2003年11月21日

 法科大学院の入試が近づいています。
 今年は何が出るかまだ分かりませんが、社会科学的な基礎を確認しておいた方がよいでしょう。つい細かな法律論議を書いてしまう傾向がありますが、それは入学してからでよいのです。社会を大局的に見る見方をしっかり身につければ少しもこわくありません。様々な形の出題にもその基礎を応用すれば対処できるのです。
 ボカボにも、この秋から次々と「法科大学院コース」の受講者が来ています。ほんとにビックリするぐらいの数です。みなさんとても熱心に毎週の課題を出していて、意気込みがこちらにも伝わってきます。最後の追い込み、がんばってください。風邪などひかないようにね。
 でも、本当はもうちょっと余裕を持って早くからはじめてほしいんだけどなー。

2003年11月17日

 急に寒くなって来ました。みなさん、冬支度は万全ですか?
 もうすぐ、試験シーズン。VOCABOWにもお申し込みが相次ぎました。
 さてその中に、「どんな人が添削しているのですか?」という問い合わせがあった。通っている予備校に相談したら、「通信講座の場合はどんな人が添削しているか分からないから止めた方がよい」と言われたとか。その予備校、失礼してますよね。でも、いい機会だから、VOCABOWのスタッフたちをご紹介しましょう。そうすれば、VOCABOWの添削がどこの予備校よりも質が高いと分かる。
 まず、東大美学科のサクライ君。この人は東大に後期の論文試験で入ったという「ベテラン」です。高校生からM.フーコーを読んでいたとか。なんという早熟! 私が予備校で教えた学生だけど、その頃から文章は光っていました。今では、原稿の一部も書いてもらっています。彼の添削は厳しいですよ、おかしな所は容赦しない。千尋の谷に突き落とし、はい上がってくるのを待つ。
 もう一人、慶應SFCのイッソン君。これも私の教えた学生。彼は上海生まれで、中国語ベラベラの秀才。彼の書く小論文はスッキリとした構成・端正な文体が特色です。今は、公認会計士になるために修行中だとか。彼の添削は、一転してソフトかつ丁寧。にっこり笑って人を斬るというか。
 法律関係は東大法学部のアンドウ君。彼は法哲学専攻。東大教授を目指しているとか。その可能性はかなり高いと思います。彼の文章は鋭い発想と緻密な論理が特徴。チェロを弾く芸術青年でもあります。
 さらに、原稿・資料担当のツカモト君。彼もまた東大後期試験突破組。彼は私の教え子ではないけど、東大哲学科フランス哲学専攻ですからね。考えつめる力は天下一品。ときどきつめすぎて、原稿が書けなくなる、とか。受験生の「書けない」悩みも我が身で理解しています。サクライ君とイッソン君は主にBASICを担当しています。大学院コースは私吉岡が担当。もちろん、BASICの答案にも必ず私が目を通すけどね。
 さて、最後にこのHPの企画・デザイン・管理と2年がかりですべての基礎を創りあげた作家のハセさん。この人には足を向けては寝られません。IT音痴の私を叱咤激励、「日本一充実している小論文サイト」(私が言ってるんじゃありません、代ゼミの先生のお言葉です! 私自身は世界一だと思っている!)あれよあれよという間に実現してしまった。このHPでは、アート・アンド・クリエイティヴ・ディレクターとして活躍してもらっています。現在、シンクタンク部門とアート部門、そして旅部門のプロジェクトを立ち上げているところです。意欲的ですよね。

 さて、こんな強力なスタッフたちと私が現在作っているのは、「法科大学院適性試験解説決定版」と「適性試験問題集」です。来年はじめには両方とも出るから、ロースクールを狙っている人はぜひ参考にしてください。さらに出版予定は目白押し。たとえば…

1 「現代文記述問題集完成編」(桐原書店) 2月刊
2 「法科大学院適性試験解説決定版」(実務教育出版)2月刊
3 「法科大学院適性試験予想問題集」(実務教育出版) 3月刊
4 「2005年度版 公務員小論文頻出テーマのまとめ方」(実務教育出版) 3月刊
5 「なるほど小論文頻出テーマ編」(桐原書店) 7月刊
6  講談社現代新書 「不毛な議論の叩き方(仮称)」(講談社) 9月刊
7 「社会科学系小論文―発想するモデル」(Z会出版) 9月刊

 さすがに並べてみると壮観。その先は? 「スケジュール、コワい! 」ということになるから、まだ入れていませんけど、企画はまだまだありますぞ。これらを協力して造りあげることができるVOCABOWスタッフの実力は、そこらの予備校なんか束になってもかなわない。全国トップレベルだと思いますよ。この間質問してきた人、安心したかな?
 これは、全ての社会的能力に共通しているけど、知性と感性とクリエイティヴィティが大切です。我がスタッフの一番の自慢は、それらを兼ね備えていることです。

2003年11月6日

読書について2

 読書はどうやって好きになればいいのですかと聞く人は多いのですが、読書好きって、生まれつきの才能の一種かもしれない。だって、読書好きの子供は誰に強制されなくても、好きで読んでいくもの。読書好きな子供なんてすごく少数派で、学校でも二、三人いたかな。図書室に集まっては、この次はこれを読もう、などと決めて競争で読んでいた。
 小学校の時はSFに夢中でした。中学校になると家にあった「世界文学全集」「日本文学全集」の乱読。「世界文学全集」なんて三段組で読みにくかったなー。今ならあんな字の小さい本は絶対に読みませんね。でもとにかくそれで「モンテ・クリスト伯」「嵐が丘」なんて読んでました。変なのが好きでしたね。ケッセルの「昼顔」レマルク「凱旋門」とか、ケッセルの「昼顔」なんて大人の倦怠の話は、中学生が読んで面白いはずがないのにね。
 高校になると、今度は哲学を読まなきゃダメかな、なんて思って最初に借りたのがベルクソンの「物質と記憶」。もちろんのこと、全く分からなかった。同級生に頭の良い子がいて、カミュの「シーシュボスの神話」がいいよと教えてくれた。不条理の哲学なんて言葉も教わった。でも、これも難しくてね。しばらく「不条理」とは何か、と議論ばかりしていました。その子によりますと、すべてのことが「不条理」だとか!?  映画を見て「不条理のドラマ」、絵を見て「不条理の美学」。何でもかんでも不条理でバリバリ解釈してみせる。しばらくは、彼のみごとな講釈に感心するばかりでした。
 しかし、これでは自分の立つ瀬がないと、他の本を読んで彼に対抗しようと試みたのです。まずカミュの不条理の向こうを張って、サルトルの「実存主義とは何か」。全然つまらなかった。それではと言うわけで、小林秀雄の評論を読んだら? これはけっこう面白かったですね。とくに「歴史について」という評論は、難解なのだけど何だか分かった気になってしまいました。これなら、「不条理」以外の見方も出来る、と嬉しくなりましたね。後は「近代絵画」かな。絵の見方が分かったような気がして、将来は美術評論家になろうと思った。それだけで思ってしまうなんてほんとに単純。
 一方で、大江健三郎にもはまりました。「個人的な体験」の鳥(バード)なんて主人公にあこがれました。今読むと必ずしもよい小説とはいえないのだけど、当時は卑弥呼というヒロインが格好いいな、と。ジャガーに乗ってて、アフリカに行こうとしているとか、要するに唯のミーハーなのだけど。大江健三郎自身、かなりミーハーな人だと言うことは、後になって分かったのだけどね。
 さて、読書歴は続きます。大学に入ってとりあえず読んだのがハイデガーの「存在と時間」。うーむ、前半はよく分からなかったのだけど、後半のDas Manの分析は何だか社会評論みたいで異様に分かりやすい。それから、ヘーゲル「精神現象学」。これは生涯最難関の読書でした。締め切った部屋で日に夜をついで読み続けて、半年ぐらいかかったかな。眠くなったら寝て。起きたくなったら起きて読む。そんなことを繰り返しているうちに、一日のサイクルが26時間くらいになる。一週間弱で昼と夜が逆転し、また一週間すると夜と昼が逆転する。読み終わったときは、さすがに充実感があった。しばらくは自分のことをヘーゲリアンだと称してました。
 一方で、今は学者になっている学友たちとマルクスの「資本論」の読書会もやっていた。やはり、大学時代の本はヘビーですね。(この項続く)

 ところで桐原書店から新しい問題集「記述対応 現代文長文演習 標準編」が出ました。全国の高校の先生方、お待たせいたしました。詳しくは 桐原書店